1961.12.28(木) 梨の礫に気もそぞろ
あれからもう 4日にもなるが、何の音沙汰もない。
もし、人違いであったのなら仕方ないが、そうでないとすると一体どうしたことだろう。 あれだけ丁寧に書いたのだから、まさか、彼女の感情を害したとも考えられない。 あるいは、丁度、金子さんの場合のように、どう断ってよいか迷っているのかも知れない・・・
・・・・
実際、何てことをしてしまったのか。 どうかしていたと言うほかはない。
(注: 全くどうかしていたのだろう。 第一、相手の住所氏名からして、こちらの一方的な推定の域を出ないところへ持ってきて、一度も話したことのない私を彼女が特定できたと言う保証もないのに、返書など期待する方がどうかしている。
金子さんの場合と言うのは、以前、彼女から、誰か知らない早大生から来たプロポーズの葉書に、どう返事をすればよいかと相談された時のことだ。 その時は、"呆れた男だ" などと無責任なことを言っておきながら、自分が同じことをやるとは・・・。 あれだけ丁寧な・・・などと言い訳じみたことを書いているが、相手から見れば文面の如何がどうあれ、誰か知らない独りよがりの女々しい男でしかないと言うことが、さっぱり判っていなかったのだから、〇〇は盲目とはよく言ったものだ。
それに比べれば、同じように H宛に出した手紙が梨の礫に終わりショックを受けたらしいが、その後、勇気を出して直接声をかけ、観劇デートの約束にまで漕ぎつけた杉山の方が、ずっと、男らしいと言うべきだった。
追記:2023.7.3
しかし、私や杉山に限らず、当時、何の伝もない異性に声をかけると言うのは、それほど抵抗のある行為だったことは事実だ。)
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