1961.6.8(木) 噂の女子学生の who's who?
・・・ところで杉山の言う所では、やはり S は噂のスチュワーデスではないそうである。 どうもそれにしては背が低すぎると思ったとおりだったことになる。 と言うわけでこれからは彼女を I (インスタントコーヒー)と呼ぶことにする。
今日は、いよいよ待望(?)の露語がある。
(・・・疲れたので中断する。)
席は1限が終わった時にとって置いたので、野島さんが終わった後ゆっくり待って更に一つ余分にとり、大竹や杉山を迎えに行こうとすると、丁度 I が例の友達といっしょに入って来たので、狭い通路ですれ違うことになった。 階段のところまで行くと二人が来たので、そこからまた引き返すと僕のとっておいた席のすぐ後ろへ彼女が掛けているではないか。 いや、杉山の喜んだことと大竹の驚き呆れたさまと言ったらなかった。 結局、大竹と僕が彼女らの前に座り、杉山は "ここ空いてますか" とまことに調子よく彼女の右隣へ席をとった。 いやはやとんでもないことにない事になってきたものだと大竹とおかしさをこらえるのに懸命であった。・・・・・
講義が終わってから矢内原門のところで大竹、小柳と別れるまで他愛のない話をしながら大笑いしたが、とにかく杉山の言うことが振るっている。 つまり、"俺とあいつの間には、びりびりと電流のようなものが通っているのだ" と、まあざっとこんな調子である。 ・・・・ 結局これは、そのつもりで見れば何でもそう見えてくると言う人間の弱点を如実に示す好例であるといえよう。 何れにせよ、いよいよ面白くなってきたと言うものである。
(注: 野島さんの講義が何だったか、科目すらまったく思い出せない。 例の友達と言うのも記憶がない。 小柳と言うのは一緒に仏語や露語に手を出すほか、必修科目の独語では四谷の教会まで独逸婦人に会話を習いに行った親友の一人だったが、後年、西武事件で苦境に追い込まれ自ら命を絶つことになった小柳皓正君である。
日記では杉山にピエロ役を演じてもらっているが、その実、彼をだしにして我々自身の関心を紛らわせていたのだろう。)
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