2012年6月10日日曜日

1962.5.3(木) 桐生の同級生二人

12時頃下宿を出た。荻窪の本屋を一まわりし、 Value and Capital を買ってきたので、金子さんのところへ着いたのは2時頃だった。
商品流通のところを少しやってみたが、埒があかないので、13日までに一通り読んで置く約束をして別れた。

帰りに渋谷で途中下車し、本屋を一巡りして戻ってきた時、道玄坂口(地下道の)の辺りで名前を呼ばれ、誰かと思ったら高橋誼だった。 コーヒーを飲みながら色々話をしたが、彼は浪人1年後、中大に合格したのだが、縁故があって日大の司法研究室に入り、今度、司法試験を受けるとのことだった。 〇〇君(〇〇先生の息子)が精神病で順天堂に入院したというのは、一寸意外だった。

(休憩・・2012.6.10)
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(再開・・2012.7.8)
今日の金子さんは何だかとても綺麗に見えた。 何というか、今までに無くソフトな感じだった。 金子さんをあんな気持ちで見たことは今までになかった・・・じっといつまでも見とれていたい衝動に駆られた。 しかし、果たしてこれが彼女に対する恋愛感情を意味するものかどうかとなると甚だ自信がない・・・
知性、教養から言っても、また容姿の点から言っても、あの位のものを備えている女性と親しくしていれば多少なりとも心を惹かれるのは当然であろう・・・・。

(注1): 高橋誼と東京のどこかで出くわしたことは覚えていたが、多分、駅か電車の中でだろうと思っていた。 渋谷の喫茶店で腰を落ち着けてこんな立ち入った話をしていたとは、この日の日記を読むまで忘れていた。 それに、〇〇先生や〇〇君のことは今でも全く思い出せない。 一方、日記には何も書いてないので、別の友人だったかも知れないが、将来は悪徳弁護士になる心算だなどと軽口を叩いていたのを憶えている。

当時の私は、学者になる気がないのに大学に行く必要があるのかという世間知らずだったから、法学部に進学した連中と毎日のように付き合っていながら、彼らの卒業後の進路に関してもまったく関心が無かったので、なるほどそういう手もあるのかと妙な感心をしたものだ。

L1-6B の同窓会でこんな話をしたら、みんな呆れかえるか、逆にお前は昔からそうだったと言って改めて納得してくれるかどちらかだろう。 そういえば、いつだったか安田講堂前の芝生で彼らの何人かと雑談していた時、堀籠から、関口は何かの教祖になるタイプだというようなことを言われた記憶がある。 流石に後年、最高裁判事になるだけあって、人を見る目が鋭かったと言うべきか。

(注2): 金子さんが、畑違いの経済学の単位をとらなくてはならないので、教えてくれと言われ、国民経済循環のイロハくらい知っていなくてはと思って教えようとしたが、箸にも棒にもかからなかったと言うのが前段。 後段は、中学生時代から出来の良い"従姉" 位の気持ちで見ていた彼女を突然、"妙齢の" 女性として意識したということ。 しかし、その先なにも起こらないのが、堀籠の言う "教祖" たる所以であろう。 中学時代の仲間の内には、私と金子さんは、サルトルとボーボワールのような関係だと思っているものも居るかも知れないが、実際は、遥かそれ以前(?)、竹林の七賢の中に、紅一点が混じっていたと言う方が当っている。 七福神の中に弁天様がいるようなものだ。

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