1960.8.25(水?) 西荻界隈の散策
午前中借りてきた石坂洋次郎の本は4時ごろまでに読んでしまった(終わりの方はつまらないのでぱらぱらと跳ばして読んでしまったが)ので、本屋に返しがてら、そのまま荻窪の方へぶらぶらと散歩に出たのはよいが、高井戸から荻窪へ戻ってからどう方角を間違えたかさまよいにさまよった挙句、井之頭線、富士見が丘の駅の所へでてしまった。 全く驚いたが、とにかく懐中無一物では電車に乗るわけにもいかない。 しかたなく線路を見失わないよう気をつけながら三鷹台まで歩いた。
気がついたときは不思議なこともあればあるもので、田村さんの家の前に来ていた。 よっぽど立ち寄って帰りの足代でもお借りしようと思ったのだが、どうも夜になってしまったことだし具合が悪いので観念して立教女学院の前まで出、それからは勝手知ったる道なので安心して家まで戻ってきた。
とにかく今まで何度も道に迷ったことはあるが、こんなに遠くまで迷い込んでしまったのは、去年の夏、大泉の方まで行ってしまったとき以来である。
しかし、西荻に住み着いてから2年あまりの間に、よくもまあこれだけ隈なく歩き回ったものだと思う。 とにかく西荻・荻窪間で一度も通ったことのない道は皆無と言ってよいくらいだ。
(注: 私が散歩好きだったと言うのも事実であるが、それよりも、勉強が手につかず部屋に閉じこもっていられなかったという方が正直な所である。
このあと9月22日まで日記帳には何も書かれていない。)