2013年7月30日火曜日

1962.6.15(月) 橘バレー学校の前を通る。

授業には出ないで、3時まで図書館でゼミの読み合わせの予習をした。
・・・
速達でも間に合わないというので吉祥寺まで行き、電話で月曜の4時にしてもらった。
・・・井の頭公園まで歩き、そこから電車に乗って帰った。途中、橘バレー学校の前を通ったらさかんに号令をかけて練習していた。

(注: ゼミは4年生と一緒だったので、我々3年生だけで事前に読みあわせをやっていたらしい。その前に一人で予習をしたという次第。吉祥寺云々は、アルバイト先の鹿園さんに日程変更をお願いした経緯だが、なぜそのために吉祥寺まで足を延ばしたのか解せない。多分、吉祥寺までは定期券でいけたので、市外電話をかける料金を節約したのだろう。当時の市外通話料金がそれほど高かったのか、私がそれほど貧乏だったかのどちらかだろう。橘バレー団の名前は知っていたが、その前を通ったのは、まったくの偶然である。)

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2013年7月28日日曜日

1962.5.28(月) 阿部達雄、石川嘉延と私を繋ぐ縁?

木村さんは今日も休講だった。書籍部で阿部石川と会い、一緒にメトロでクリームソーダを飲みながら、経済学談義をやった。石川は人生が空しく感じられてきて仕方がないと嘆いていた。全く同感であった。3限の原理論は殆んど上の空で聞き流し、落書きをしていた。

帰りにまた澁谷から駒場まで歩き、矢内原公園で少々金融制度論を読んだ。寮食で夕食を済ませ、図書館で少し休んでから帰る途中、矢内原門のところまで来たとき、丁度、階段を登って入ってこようとしている女の子がいたので、誰かと思ったら何とHさんだった。
全く意外だったので、咄嗟には確認できず、思わず彼女の顔を凝視してしまった。彼女の方でも全く同じように驚いた顔つきをしていた。

(注1): 阿部君は桐生高校の1年後輩、石川君は後年、郷里静岡県の知事を4期16年やり、公約通り富士山静岡空港を実現した畏友であるが、彼等とこんな人生論を交わしたことがあったとは、今日の今日まで忘れていた。
そういえば、彼等二人が駒場時代から親しかったことは、1961.9.25(月)の日記にも書いた。
(注2): Hさんというのは、1年前、湘南高校一の美少女が入学してきたと噂され多くの男子学生に騒がれた人である。友人の一人が夢中になって、かなり積極的にアプローチしていたが、その後の消息は聞いていなかった。勿論、私も人並みに関心は持っていたし、先方もこちらの顔は覚えていたらしい。

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1962.5.26(土) ええと?

Wie sagt man noch?  のnochの意味がはっきりしないので、駒場まで出かけ、杉山先生を研究室の前で捉まえてお聞きした。ええととか、はてなとか言う意味だとのことだった。
校内で、赤塚、柏木、岡の3人に会った。岡君は全然僕を覚えていなかった。

(注: わざわざ駒場時代の先生のところまで出掛けて行ったのは、多分、アルバイトで教えていたドイツ語のテキストのニュアンスを確かめたかったからだろう。赤塚、柏木の両君は文1-6組の級友、岡君は桐生高校の3年後輩で、この正月に桐生の新人歓迎会で会ったのが初対面だった。) 

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1962.5.24(木) 同時代に生きていることの不思議 ‐ 縁 ‐

下宿を出たのが9時頃、農政学は諦めることにした。2限は休講なので、黒川と山田の将棋を見物したり、図書館で大竹と一緒に少し教科書を読んだりして過ごした。

12時少し前に大竹と別れ、思い切ってもう一度〇〇まで行くことにした。一昨日の夜見た彼女の家を明るい日の下ではっきり見届けたかったのだ。
それはやはり彼女の住むに相応しい感じの良い家だった・・・・・というより彼女の家であるという事実が、僕にその全てを好ましいものと感じさせたのだと言ったほうが良いかも知れない。
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帰る途中も擦れ違う電車の一つ一つに、或いは彼女が乗っているのではないかと思って、何も見えるはずがないのに振り返って見ずには居られない気持ちだった。
一昨日と今日と生まれて以来2度しか来たことのない〇〇の町が、何だかずっと昔から知っている町のように懐かしい忘れられないものとなってしまった。
通りを歩いていても、この道もあの人が毎日通った道なのかと思うと、あの人が子供の頃から毎日歩いたその同じ土の上を今こうして歩いているのかと思うと、何か言葉にならない感慨が胸に突き上げてくるのを覚えた。
僕が全然知らない所で、僕の全然知らない人たちの中で、あの人が生まれ育ち成人したということが、また彼女を産み育てた人たちが居り、彼女を子供の頃から知り一緒に遊んだ人たちが居たということが、不思議でならなかった。

(注: 人は誰でも一度は世界が違って見えるような体験をするとは、前から観念的には承知していたが、私にとっては、この日がまさにそれだった。
かのスティーブンソンが、マラッカ海峡航行中に、吉田松陰の密航失敗と投獄の報に接し、このような英雄と同時代に生きていることを誇りに思うと書き残したという逸話を読んだことが有る。
話は異なるが、いずれも 『同時代に生きていることの不思議-縁-』 を実感した瞬間であることでは共通する体験だったと今でも思っている。)

追記:2003.7.3
街の名は浦和、あの人とは昨年5月に亡くなった浜田マキ子さんのことですが、
私にとっては未だに藤井槙子さんのままです。当時米国の女子大生の間で流行った言葉でいえばNATOです。これは no action talking only という内気男(今どきの言葉で言えば陰キャ?)の蔑称でしたが私の場合はそのはるか手前 no action thinking only でした。 

tuik 

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2013年7月27日土曜日

1962.5.22(火) 片思いにもいろいろある!

バスで奥原と一緒になった。木村さんは今日も休講。3限の政治外交史はサボって駒場へ行き、図書館で少し勉強してきた。知っている顔は一人も見えなかった。書籍部へ入ってみようかと思ったが、遂にその勇気が出なかった。全く何をする気力もなく、まるで胸の中を風が通り過ぎて行くような気持ちだった。
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何度も思い迷った末、遂に決心して〇〇まで行ってみることにした。品川で〇〇〇〇に乗り換え、正味55分で〇〇に着いた。始め道も尋ねず闇雲に歩いたので・・・・
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全く、自分でもよく出かける気になったものだと思うし、また良くもあんなに簡単に見つかったものだと思う。
彼女の家・・・夜なので良くは見えなかったが、洋風のとても綺麗な家だった。洒落た形の2階の窓が一部ぼうっと明るくなっていたのは、彼女がスタンドの灯りで勉強でもしていたのだろうか。・・・
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(注1): 旧友と何を話したのか、駒場の図書館で何を勉強したのか、何の記述も無ければ記憶もない。ただ、毎日、女性に対する憧れと気後れ・・劣等感とまでは行かない引け目・・の間を彷徨っていた。こんな状態でも人並みの成績だったのだから、気が進まないながら多少は勉強もしていたのだろうが、所詮、国家・社会を支える大黒柱とは無縁の存在だった。因みに、桐生市立西中学校3年4組のクラスメートには、褒章受勲者が2人いるし、東大文1‐6組の仲間には旭日大綬章の受勲者が何人も居る。改めてこの道一筋に邁進した彼らに敬服する。

(注2): 駒場以来、片思いとすらいえない憧れを抱き続けた女性の家を探し当てた時の経緯と感懐の一端である。日記には、その間の逡巡と紆余曲折、夢想と感傷が縷々書き連ねてあるが、我ながら読むに耐えない自己陶酔の羅列なので、割愛せざるを得ない。しかし、意外に多くの青年が一度はこんな気持ちを経験したことがあるのではないかと思わないでもない。
近頃の流行語では、相手の意思を無視して自分勝手な要求を強要することをストーカー行為と言うらしいが、逆に相手の意思を忖度しすぎて、自分から勝手に身を引いてしまう私のようなケースは、何と言ったら良いのだろう。近頃はやりの草食系というのはこれに近いのかどうか知らないが、何れにしても健全な精神状態とは言いかねる。

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1962.5.21(月) 本郷の平凡な一日

バスを待っているとき、東に会った。木村さんの講義も聴きたくないので上野へ出、博物館の方を一回りしてきた。3限は眠くて仕方なかった。帰りにバスで吉沢、東と一緒になった。吉沢は、アテネフランセへ行くとのことで、御茶ノ水で別れた。東は駒場に用があるそうで澁谷まで同行した。

今夜、隣室に入った高松さんは非常に感じの好い人で安心した。今日、越してきたそうであるが、今夜の汽車で帰郷し、一週間ばかりして上京するとのことだった。

(注1): 木村さんとは、マクロ経済を講じていた木村健康教授のことである。休講が多いのが取り柄で眠くなるような話し方をするので、真面目に聴講する気になれなかったが、その付けで、慶応、早稲田とのインターゼミでは、彼らの言っていることがチンプンカンプンで付いていけず、馬鹿にされてしまった(多分)。東君はこれまでも何度か触れたが、後の農水審議官、というよりオペラ歌手の東敦子の実弟である。吉沢君は私と同じ経済学部へ進んだが、マルクス経済学一筋の学究肌で、駒場時代のクラスメートとは、殆んど付き合いは無かったようだ。文1-6組のクラス会にも出たことがないので、どうしているかと思って10年ほど前にインターネットで検索したら、甲南大学学長になっていたのでびっくりした。
(注2): 隣室にどんな人が入居するかが気になったのは、下宿先の部屋が3畳一間で、隣室との間は襖で仕切られていただけだからである。

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