1961.9.14(木) 山手線で肩が触れる・・・ただそれだけの事?
3限終了後、一度堀篭と渋谷まで行ったが、思いなおして戻ってくると・・・・
本館から東たちが出てきたので写真を受け取ったり、暫く遅れて図書館へ入ろうとすると、丁度 彼女 が出てくるところにぶつかってしまった。 残念だったがそのまま中へ入って見ると、一杯で全然席がない。 なるほど彼女もこれでは帰らざるを得ないわけである。
富田と一寸話をして出てくると、矢内原門の手前で左側から来る彼女にまた出くわしたので一寸驚いている所を後から呼び止められたので、見ると木村、内田、増山らであった。・・・・・・東から貰った写真を見ていたので見せろと言うわけである。
・・・彼らも 彼女に気がついていたらしく 、内田が "あれがスチュワーデスだ" とか何とか言ったのを聞いたが・・・
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駅まで一緒に行くと P が一人でホームに立っていた。
渋谷で皆と別れ、もう彼女を見ることはあるまいと思っていたが、山手に乗って後からすぐ横に来た女の子が誰かと思ったら、何と彼女だったのには全く仰天した。・・・しかし、すぐ彼女の後を追うようにしてきた人物は一体誰だろうか。 彼女は確かに "私、こまります。 そんなにしつこくされると本当に困りますから" と言ったように思う。 相手は大分まいっていたらしいが、手にノートのようなものを持っていたところを見ると、何かの記者かなにかだろう。
だが、彼女は一体どこで下りたのだろうか。 代々木でその人物に一礼して前の車輌へ移っていったが、出口から遠い方へわざわざ行くのもおかしいから降りたのではなかろう。
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(注: 前半で言う彼女 とは、これまでも何度か出てきた女子学生の一人のことで私が勝手に P と呼んでいた女子学生のことである。内田のように大蔵省へ行くような真面目男でも無関心ではなかったほど目立つ存在だった。 東から貰った写真とは、美ヶ原合ハイでのスナップ写真のことだろうと思う。
山手線車内での一件は、P が雑誌記者か何かの取材を振り切ろうとして駆け込み、掴った吊革のすぐ隣の吊革にぶらさがっていた男がたまたま私だっただけの話である。 しかし、それは、一瞬のことで、その時は何が起こったのかわけが判らなかった。 「袖振り合うも多生の縁」と言うが、「袖振り合う」どころか「肩を触れ合った」のだから、きっと浅からぬ縁が有ったのだろう。 今にして思えば、もっと男らしく毅然として彼女をかばってあげるべき場面だったのだろうが・・・・・。)